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BASF in Japan Report 2019...目次 本レポートについて 2 BASFグループ2019概要 3...

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BASF in Japan Report 2019
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BASF in JapanReport 2019

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目次本レポートについて 2BASFグループ2019概要 3BASFグループ 4各地域におけるBASF 10アジア太平洋地域のBASF 12日本のBASF 15日本の主な連絡先 23BASFグループ10年間の業績概要 24

目次

本レポートについて

「BASF in Japan-Report」は、BASFの日本での活動を経済・環境・社会という持続可能性の3つの側面からまとめた簡易レポートです。年1回発行しており、本レポートの対象期間は2019年度です。また、BASFグループ全体の概要と業績についても記載しており、国際財務報告基準(IFRS)および該当箇所についてはドイツ商法とドイツ会計基準(GAS)の要件に準拠して作成されています。連結対象となる共同支配事業の排出量、廃棄物、エネルギー・水使用量は、BASFの持分に比例する分が報告されています。従業員数は、BASFグループの連結対象会社の2019年12月31日時点の従業員数の合計です。

表紙の写真:茨城県古河市の北利根工場。パーソナルケア・ホームケア産業向けに、油性剤およびワックスの製造・開発を行っています。社会のニーズによりサステナブルに応えるため、お客様とともに革新的なソリューションの創造に取り組んでいます。

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1 数値を調整しています。詳細はbasf.com/reportをご参照ください。2 無形資産および土地、工場、設備に追加3 第三者へのエネルギー販売を除く

ケミカル 百万ユーロ

売上高 20192018

9,53211,694

特別項目控除前営業利益

20192018

7911,587

マテリアル 百万ユーロ

売上高 20192018

11,46613,270

特別項目控除前営業利益

20192018

1,0032,400

インダストリアル・ソリューション 百万ユーロ売上高 2019

20188,3899,120

特別項目控除前営業利益

20192018

820668

サーフェステクノロジー 百万ユーロ

売上高 20192018

13,14211,199

特別項目控除前営業利益

20192018

722617

ニュートリション&ケア 百万ユーロ

売上高 20192018

6,0755,940

特別項目控除前営業利益

20192018

793736

アグロソリューション 百万ユーロ

売上高 20192018

7,8146,156

特別項目控除前営業利益

20192018

1,095734

4 2018年の事業セグメントデータは、新たなセグメント構成を反映し調整されています。非継続事業として分類した建設化学品事業の数値は除外しています。

事業セグメントデータ4BASFグループ2019概要

主要データ2019 2018 + / –

売上高1 百万ユーロ 59,316 60,220 (1.5%)

利息・税金・償却・特別項目控除前利益1 百万ユーロ 8,217 9,271 (11.4%)

利息・税金・償却控除前利益(EBITDA)1 百万ユーロ 8,036 8,970 (10.4%)

特別項目控除前営業利益1 百万ユーロ 4,536 6,281 (27.8%)

営業利益(EBIT、利息・税金控除前利益)1 百万ユーロ 4,052 5,974 (32.2%)

当期純利益 百万ユーロ 8,421 4,707 78.9%

投下資本利益率(ROCE)1 % 7.7 12.0 –

1株当たり当期純利益 ユーロ 9.17 5.12 79.1%

資産 百万ユーロ 86,950 86,556 0.5%

買収を含む投資 2 百万ユーロ 4,097 10,735 (61.8%)

2019 2018 + / –

従業員数(12月31日時点) 117,628 122,404 (3.9%)

人件費 百万ユーロ 10,924 10,659 2.5%

研究開発費1 百万ユーロ 2,158 1,994 8.2%

温室効果ガス排出量3 CO2換算(百万トン) 20.1 21.9 (8.2%)

生産プロセスにおける キログラムエネルギー効率 (販売製品)/MWh 598 626 (4.5%)

アクセラレーター製品売上 百万ユーロ 15,017 14,284 5.1%

原材料サプライヤーの持続可能性に関する立入監査の回数 81 100 (19.0%)

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BASFグループBASFは持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくることを企業目的とし、経済的な成功、環境保護、そして社会的責任を同時に実現しています。BASFでは、約11万8,000人の社員一人ひとりがほぼすべての産業、ほぼすべての国においてお客様の成功に貢献できるよう努めています。BASFのポートフォリオは、ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、サーフェステクノロジー、ニュートリション&ケア、アグロソリューションの事業セグメントから成ります。

2019年のBASFグループの組織

2019年1月1日現在、BASFグループには11の事業本部があり、6つの事業セグメントに分類されています。

■ ケミカル:石油化学品、中間体■ マテリアル:パフォーマンスマテリアルズ、モノマー■ インダストリアル・ソリューション:ディスパージョン&ピグメント、パフォーマンスケミカルズ

■ サーフェステクノロジー:触媒、コーティングス■ ニュートリション&ケア:ケア・ケミカルズ、ニュートリション&ヘルス■ アグロソリューション:アグロソリューション

本レポートに記載されている2018年の事業セグメントに関するデータは、新たなセグメント構成を反映し、調整されています。

BASFと、世界的なプライベート・エクイティ・ファームであるLone Starの関連会社は2019年12月21日、BASFの建設化学品事業の譲渡譲受契約を締結しました。買収価格は、現金および負債がゼロの状態で31億7千万ユーロです。取引は、関連する競争当局の承認を条件として、2020年第3四半期に完了する予定です。建設化学品事業の情報は、これまでサーフェステクノロジー事業セグメントとして開示されてきましたが、本契約の締結により、BASFグループの財務報告に変更が生じました。建設化学品事業の売上高および利益は、遡及的に2018年1月1日以降のBASFグループの売上高、利息・税金・償却控除前利益(EBITDA)、EBIT、および特別項目控除前営業利益に含まれなくなり、過年度の数値は調整されました。事業譲渡が完了するまで、当該事業からの利益はBASFグループの税引後利益のうちの「非継続事業からの税引後利益」として区分表示されます。

BASFとLetterOneは、関係当局による認可を受け、2019年5月1日付でWintershallとDEAの統合を完了しました。BASFとLetterOneは、2018年9月に両社の石油・ガス事業を統合し、合弁会社を設立することに合意していました。事業統合の過程で、株主ローンは銀行ローンに転換されました。2019年5月1日以降、Wintershall Deaに対するBASFの持分は、持分法に基づいてBASFグループの連結決算報告書に記載されており、当初評価額は公正な評価額に設定されています。全部連結から持分法への変更に伴って計上された利益は、「非継続事業からの税引後利益」として区分表示されています。

2019年5月1日以降、BASFはWintershall Deaの当期純利益の自社割当分を「その他」に分類される事業による特別項目

控除前営業利益およびEBITとして記載しています。なお、BASFおよびLetterOneは、市場が適切な状況にあるかどうかを見極めながら、Wintershall Deaを2020年下半期に新規公開株式(IPO)として証券取引所に上場することを計画しています。

2019年のサステナビリティに関する経営報告書の情報開示および指標には、Wintershallのデータは含まれていません。建設化学品事業は、環境保護、健康、安全、従業員およびコンプライアンスに関する情報開示には含まれていますが、売上高に基づくサステナビリティ関連の数値からは除外されています。2018年にバイエルから買収した事業は指標に含まれています。詳細はbasf.com/reportをご覧ください。

2019年1月1日付で発足した新たなセグメント体制により、各事業をマーケットごとに異なる競争環境に応じてきめ細かく運営することが可能になりました。この結果、事業セグメントおよび事業本部の業績についてはその透明性が増すほか、事業の成功に対するフェアブント(統合生産)およびバリューチェーンの重要性がより明確になっています。BASFは、自社の事業を競合他社に対して明確にポジショニングし、高いパフォーマンスを発揮できる組織づくりを行います。これにより、競争の激化する市場環境においても成功を収める企業としての体制を整えていきます。

BASFの事業本部は経営責任を担っており、セクターや製品に応じて編成されています。また、計54のグローバルおよび地域ごとのビジネスユニットを管理し、76のストラテジック・ビジネス・ユニット1の戦略を策定しています。

また、BASFはマーケットの潜在力を活用するため、地域および国ごとに組織体制を整えています。財務報告上、欧州、北米、アジア太平洋、南米・アフリカ・中東の4つの地域統括本部を設けています。

事業本部と並んで3つのグローバルリサーチ本部(「プロセスリサーチ&ケミカルエンジニアリング」「先端材料&システムリサーチ」「バイオサイエンスリサーチ」)があり、BASFのイノベーション能力と競争力を支えています。

原材料やサービスの調達、生産、顧客への輸送などの事業遂行にあたっては、2019年時点では、各事業本部とファンクショナル・ユニットが共同でその責任を担いました。7つのファンクショナル・ユニットおよび8つのコーポレート・ユニットが財務、人事、税務・法務、エンジニアリング、サイトマネジメント、購買・物流、環境保護、健康、安全、IR、コミュニケーションなどの分野においてサービスを提供し、事業活動を支えました。企業戦略のさらなる進展への取り組みの一環として、BASFは2019年、エンジニアリングサービス、購買・物流など、ファンクショナル・ユニットの中でも事業部にとって特に重要な部分を事業本部に組み込みました。これにより、お客様に寄り添って機敏に対応できる体制が整いました。また、ファンクショナル・ユニット、研究開発およびガバナンスの分野においては、よりスリムな組織体制の構築にも取り組みました。

BASFグループ

1 非継続事業として区分されている建設化学品の事業活動は除く。

BASF in Japan Report 20194

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2020年1月1日以降の組織再編

BASFは企業戦略実行の一環として組織を再編し、お客様に寄り添い、競争力を強化し、利益ある成長を実現するための体制を整えました。また、継続的に実践しているエクセレンス・プログラムの一環として、管理業務の合理化、サービスユニットや地域本部の役割の明確化、手順や工程の簡素化にも取り組んでいます。顧客重視を徹底した事業本部、機能横断的なサービスユニットや地域本部、また効率的な「コーポレート・センター」などが新組織の要となります。

「コーポレート・センター」は、BASFグループの運営を行う上で取締役会を支えます。これには、戦略、財務、法務、コンプライアンス・税務、環境保護、健康、安全、人事、コミュニケーション、IR、内部監査といった各分野の中枢機能が含まれます。

さらに、4つのグローバル・サービス・ユニットが設立されました。「グローバル・エンジニアリング・サービス」と「グローバル・デジタル・サービス」は、各拠点、各事業本部、その他のユニットに対してサービスを提供します。「グローバル購買」は、購買業務のさらなる効率化を実現します。また、新設された「グローバル・ビジネス・サービス」は、グローバルかつ柔軟性のある需要連動型のサービスユニットとして、財務、人事、環境保護、健康、安全、知的財産、コミュニケーション、サプライチェーン、コンサルティングなどの分野のサービスを提供し、各事業本部の競争力強化に貢献します。

地域本部と国の役割もさらに明確化されました。今後、これらの組織がBASFの現地代表としての役割を担い、ビジネスユニットが現地のお客様に寄り添って成長できるよう、これまで以上に力強くサポートしていきます。

現在実行中のエクセレンス・プログラムでは、2018年を基準として、2021年末から毎年20億ユーロのEBITDA増大効果を発揮することが期待されています。また、組織の簡素化およびサービス部門、事業部門での効率化を図るため、BASFは2021年末までに全世界で約6,000ポジションの削減を予定しています。さらに、すでに発表しているポートフォリオの変更に伴い、コーポレート組織の合理化も実施しています。

拠点およびフェアブント

BASFは世界90カ国以上でグループ会社を有しています。また、全世界に6カ所のフェアブント拠点(統合生産拠点)と361カ所の生産拠点を展開しています。ドイツ・ルートヴィッヒスハーフェンのフェアブント拠点は、一企業が所有するものとしては世界最大の化学コンビナートで、統合ネットワークとして構築されています。フェアブントの方針はここで最初に生まれ、継続的な最適化がなされた後、他の拠点でも実践されてきました。

フェアブント(Verbund)とは「統合・つながり」を意味するドイツ語で、フェアブントシステムはBASFの大きな強みのひとつです。これにより資源を効率的に活用し、付加価値を創出しています。生産フェアブントとは、廃熱を他のプラントでエネルギーとして使用したり、排出された副産物を他のプラントで原料として再利用したりするなど、生産とエネルギー需要をうまく結び付けるも

のです。これにより、原材料やエネルギーの効率的な使用のみならず、排出物の削減、物流コストの低減が可能になり、シナジー効果が発揮されています。

また、フェアブントの方針を生産以外の分野にも広げ、技術や市場、デジタル化といった側面でも適用しています。専門的な知識はグローバルな研究プラットフォームに蓄積されています。

調達および販売市場

BASFは、世界のほぼすべての国々において、100,000社1以上の様々なセクターの顧客企業に対して製品およびサービスの提供を行っています。BASFの顧客ポートフォリオは、大手の国際的な企業から中規模の企業、そして最終消費者に至るまで、幅広いものとなっています。また、BASFは世界各国の様々なセクターの75,000社以上のTier 1サプライヤー2との取引があります。サプライヤーはBASFに対して重要な原材料や化学品、投資財や消費財を供給し、また幅広いサービスを提供しています。BASFにとって重要な原材料としては、ナフサ、液化ガス、天然ガス、ベンゼン、苛性ソーダなどが挙げられます(数量ベース)。

事業環境および競争環境

BASFはグローバルに事業を展開している企業です。これはすなわち、下記のような国、地域、および世界的な規模での様々な条件に従うことを意味します。- 世界経済環境- 法的・政治的な制約(EU規制など)- 国際的貿易協定- 業界基準- 環境協定(EUの排出量取引制度など)- 社会的側面(国連の世界人権宣言など)

BASFは、活動中の事業分野の約70%で、上位3位以内のマーケットポジションを維持しています。世界規模の重要な競合他社にはアルケマ、バイエル、クラリアント、コルテヴァ、コベストロ、ダウ、デュポン、DSM、エボニック、台湾プラスチック、ハンツマン、ランクセス、SABIC、中国石油化工集団、ソルベイ、シンジェンタ、万華化学などがあり、国・地域レベルでの競合他社はさらに数百社に及びます。今後は、特にアジアや中東の競合他社が従来以上に重要な地位を占めると予測しています。

会社の法的構造

BASF SEはBASFグループの上場親会社として中核の役割を果たしています。同社は、BASFグループに属する会社の株式を直接または間接的に保有する最大の事業会社のひとつです。グループ企業の多くは、広範囲にわたるBASFの事業を担っています。BASFグループの連結決算書類上は、BASF SEを含む295社が全部連結、7社が比例連結として処理されており、25社が持分法適用会社となっています。

BASFグループ

1 顧客数は、当該売上高が計上された事業年度においてBASFグループが契約を結んだすべての外部企業(販売先)の数。 2 BASFでは、当該事業年度のBASFグループの一次サプライヤーをすべてTier 1サプライヤーとしています。これは、原材料、投資財、消費財およびサービスをBASFグループに提供したサプライヤーとなります。サプライヤーは、法律上の自然人、企業、あるいは法人である場合があります。

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私たちの戦略企業戦略BASFは化学とお客様に情熱を注いでいます。お客様が認める世界をリードする化学会社となるために、BASFは利益ある成長を遂げると同時に社会に対して付加価値を創造します。高度な専門知識や革新性、起業家精神、そしてフェアブント(統合生産)を活用し、私たちが暮らす世界をより良くするために大きく貢献していきます。これが私たちの目標、私たちを支える原動力であり、得意とするところです。私たちは持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくります。

今日、人口構造の変化と新たなデジタル技術の台頭によって、世界はかつてないほど急速に変化しています。限りある天然資源や気候変動、人口増加に伴う需要増大により、様々な産業・地域において活動を行っている私たちのお客様は、社会的、環境的側面で多様な課題に直面しています。化学は、こうした課題を解決するための鍵となります。私たちは、お客様のノウハウとBASF独自のノウハウを融合させ、収益性が高く、革新的かつ持続可能なソリューションをともに開発し、グローバルな課題に取り組んでいくことができると考えています。

BASFの企業目的「私たちは持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくります」には、BASFがどんな理由でどんな行動をとるのか、それが明確に示されています。私たちは、誰もがより高い生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を享受できる未来の創造に貢献したいと考えています。そのために、資源を有効に活用し、様々な課題の解決につながる製品やソリューションを提供しています。

世界をリードする化学会社となり、利益ある成長を実現することが私たちの願いです。私たちが主に目指しているのは有機的成長であり、これまで以上に顧客志向を強化しています。私たちの成長戦略は、戦略的成長市場やイノベーションが成長を支える分野への投資をベースにしています。アジア市場はこれまで通り重要な役割を担っています。40%以上のシェアを持つ中国はすでに最大の化学品市場となっており、世界の化学品生産の成長を牽引しています。2030年までに、中国のシェアは50%近くにまで拡大すると見込まれており、私たちもこの成長の波に乗りたいと考えています。このダイナミックな市場における成長をさらに推し進めていくために、新しいフェアブント拠点を中国南部の広東省湛江市に開設する計画です。また、南京市のフェアブント拠点でのSinopecとの合弁事業についても、さらに拡大を図っていきます。

企業目的We create chemistry for a sustainable future私たちは持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくります

顧客志向

お客様は私たちにとって最も重要な存在です。あらゆる物事に対して、それがお客様にとってどのような意味を持つかという視点で向き合っていきたいと考えています。BASFは、全世界のほぼすべての国の様々な事業分野において、約10万のお客様1に製品

やサービスを提供しています。私たちの顧客ポートフォリオは、グローバルな大企業から中規模の企業、そして最終消費者まで、多岐にわたっています。

顧客重視と顧客業界志向

■ BASFの意思決定や行動の中心となる顧客志向■ 顧客満足度向上につながるお客様との密接な対話

お客様が認める世界をリードする化学会社となるために、私たちは組織全体にわたって顧客重視の姿勢をさらに強化することを目指しています。そのために、これまで以上にお客様に寄り添った事業への転換を図っています。

基礎化学品から高付加価値製品、システムソリューションに至るまで、私たちのポートフォリオは多岐にわたります。BASFは数多くのバリューチェーンや価値創造ネットワークの中で各産業のニーズに合わせた事業戦略を展開しており、これにはコスト・リーダーシップから、お客様に合わせてカスタマイズした川下製品向けソリューションの提供など、幅広い戦略が含まれます。こうした業界志向は事業本部ごとに推進・強化されています。BASFのビジネスユニットの約半数が、個別の業界に特化した事業を行っています。

BASFグループ

1 顧客数は、当該売上高が計上された事業年度においてBASFグループが契約を結んだすべての外部企業(販売先)の数。

BASFとHYMER:イノベーションの共創コンセプトカー「VisionVenture」は、お客様との密接な連携を通じて、BASFが未来に向けたイノベーションをどのように生み出しているのかを示す良い事例です。ドイツのバートヴァルドゼーに拠点を置くHYMER GmbH & Co. KGは、欧州におけるトレーラーハウスやキャンピングカーのマーケットリーダーです。BASFとHYMERは、2025年のキャンピングカーの姿を示すコンセプトカーを共同で発表しました。様々な高機能性プラスチックや、3Dプリントで製作された100種類以上の部品、騒音や振動を抑制するための独自の技術パッケージ、新たなコーティング技術など、BASFは20以上のソリューションを提供しました。HYMERとBASFは、12カ月にも満たない短期間のうちに、互いのアイデアと専門知識を融合させ、製品段階に近いコンセプトカーを生み出しました。「VisionVenture」は2019年8月に発表されました。

HYMERとのコラボレーションおよびVisionVentureに活用されたBASFの材料に関する詳細は、basf.com/en/vision-ventureをご覧ください。

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私たちは、お客様の様々なニーズに対してより優れた対応を可能にするために、組織の改善に継続的に取り組んでいます。2019年には、ファンクショナル・ユニットの中でも特に重要な分野(研究開発の一部、IT、購買、人事、コミュニケーションなど)を各事業本部に組み込みました。これにより、事業本部レベルでよりスピーディーな対応が可能になるほか、特定の市場需要に注力し、競合他社との差別化を図ることができます。また、プロセスの簡素化により、業務の実効性向上や効率化、スピードアップにも取り組んでいます。その目的は、より的確でより迅速な対応を通してお客様の要求を満たし、お客様に新しいBASFを体験していただくことです。

私たちは、お客様をすべての意思決定や行動の中心に位置付けています。高度な専門知識と幅広いリソースとを最適なかたちで融合させ、単なるサプライヤーにとどまらないという意欲を示しています。私たちは自身を、ソリューション指向のシステムプロバイダーと位置付けています。パートナーと密接に協働し、収益性と持続可能性を兼ね備えたカスタムソリューションを開発していきたいと考えています。専門知識を活用して、お客様とともに、最適な製品化や実用化に貢献していきます。

また、お客様のニーズをより深く理解するために、お客様からのご意見やフィードバックを定期的に収集しています。2019年には、Net Promoter System®を世界中で導入しました。これは、お客様のフィードバックから学び迅速に対応する体制を構築するためのデジタルプラットフォームです。お客様との密接な対話を継続することにより顧客満足度を高め、BASFを選び続けていただくことを目指しています。

2019年には、顧客対応管理システムの拡張にも取り組みました。2020年には、さらに使いやすくなったこの最先端のアプリケーションを実地展開し、営業担当者の顧客サポートに役立てたいと考えています。

また、お客様に対する透明性やサービスの向上、お客様とともに成長できる分野の探求に関しても一連の施策を実施しています。バリューチェーンや価値創造ネットワークに関してBASFが持つ総合的な理解、ならびにグローバルな組織体制や市場知識が、これまでと変わらず成功の鍵となります。

品質管理

顧客満足度は、私たちの事業の成功を支える基盤となるものです。そのため、BASFにとって品質管理は極めて重要な要素となります。私たちは、プロセスや製品の改善に継続的に取り組んでおり、これはグローバル品質方針にも反映されています。BASFの生産拠点およびビジネスユニットの大半がISO 90011の認証を取得しています。さらに、ISO基準を上回る、業界固有および顧客独自の品質要件も満たしています。

お客様からの評価

2019年も、私たちの製品・サービスにご満足いただいたお客様から数多くの賞をいただくことができました。例えば、2019年5月にはBASFはゼネラルモーターズ社(GM)の2018年サプライヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。この賞は品質、サービス、

イノベーション、価格の基準を満たし、優れたパフォーマンスを達成したサプライヤーに贈られるもので、BASFが受賞するのは2002年以降、今回で14回目となりました。

2019年3月には、BASFとSinopecの合弁会社であるBASF YPC Company Limitedが、ハイアール社のGolden Magic Cube賞を3年連続で受賞しました。この賞は、製品の品質の高さ、サービスの信頼性、そして顧客重視の姿勢などを評価の基準としています。

また、エアバス社からも2019年3月にSupply Chain & Quality Improvement賞を受賞しました。これは5回目の受賞となります。BASFがシェメタルブランドで販売している2つの製品、Naftoseal®およびArdrox®の安定的な製品供給と品質の高さが特に評価され、受賞につながりました。

2019年7月には、BASFの顧客重視の姿勢が高く評価され、ジャガー・ランドローバー社(JLR)のCustomer First Recognition Awardの金賞初受賞につながりました。BASFの分野横断チームは長年にわたり、J L Rの高級顧客セグメントの好みに合わせて仕様の変更を可能にするベースコートやCathoGuard®800 REテクノロジーなど、自動車用OEM塗料のソリューションの提供を通じて、JLRの事業をサポートしてきました。この賞は、JLRが自社の成功を左右する非常に重要な要素として位置付けている基本原理(個別化、透明性、仕事のやりやすさ、信頼性、特別なサービス)を体現したパートナー企業に対して贈られるものです。 

BASFグループ

1 ISO 9001は国際標準化機構(ISO)が発表している基準であり、品質管理システムの要件を規定しています。

クリエーションセンター:インスピレーションからソリューションまでを一堂に新しいクリエーションセンターでは、「発見・理解・創造」という3つのステップのためのリソースをお客様に提供しています。本センターでは、BASFの材料や、素材デザインについて、さらには高機能性プラスチックに関する総合的な専門知識を、最新の視覚化テクノロジーを活用して提供しています。これにより、お客様やパートナーの個々のニーズに対応し、アイデアをより迅速に製品化や新規用途につなげることが可能となりました。最初のクリエーションセンターは2019年5月にインドのムンバイに開設されました。続いて、2019年8月には横浜(日本)と上海(中国)にも開設されました。世界で4番目となるクリエーションセンターは、2020年初頭にドイツのルートヴィッヒスハーフェンにオープンしました。

BASFのクリエーションセンターに関する詳細は、basf.com/en/creation-centerをご覧ください。

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私たちの目標

これからの社会において、ビジネス上の成功とは、環境や社会、そして自らの事業において価値を創造することを意味します。私たちは、グローバルなバリューチェーン全体にわたって、野心的な目標を設定しています。顧客、投資家、社員、その他のステークホルダーがその進捗状況を確認できるように、透明性の高い情報開示を実践しています。

私たちは、市場を上回る成長を実現することにより、経済的に成功し、収益力を高めていきたいと考えています。さらに、現代社会が抱える喫緊の重要課題に対する答えを提示していきたいとも考えています。気候変動や地球温暖化への対策として、BASFでは、生産拠点での温室効果ガスの総排出量とエネルギー調達を、生産

BASFグループ

2019年 目標達成状況

1 持続可能な開発目標(SDGs)に関する詳細は、sustainabledevelopment.un.orgをご覧ください。2 投下資本利益率(ROCE)は事業の収益性を測定する指標です。 BASFではこの数値を、各事業セグメントから得られたEBITの、事業の用に供した資産の平均値に対するパーセンテージとして算出しています。3 取締役会が提案した配当。4 アクセラレーター製品とは、バリューチェーンにおいてサステナビリティに大きく貢献する製品を意味します。5 重要サプライヤーとして位置付けられているサプライヤーからの調達に対する支出を「重要な支出」としています。詳細はbasf.com/reportをご覧ください。

量は増大させながら、2018年のレベルにとどめていくことを決定しました。これはすなわち、温室効果ガスの排出を有機的な成長から切り離すこと(デカップリング)を意味します。また、人や環境に対する安全性、持続可能な製品ポートフォリオ、責任ある調達、持続可能な水管理、社員の意欲向上、多様性の受容などに関する目標も設定しています。

この目標への取り組みを通じて、私たちは持続可能な将来に向けた事業運営を行うとともに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)1の達成にも貢献していきたいと考えています。私たちは、気候保全、持続可能な消費・生産、飢餓の撲滅など、企業として大きな貢献を果たすことができる分野に特に力を入れています。

2030年までCO2排出量を増やすことなく成長2018年を基準としたCO2排出量の推移

– 8.2%

2025年までに、全世界での20万労働時間当たりの休業災害発生率を0.1以下に削減

0.3

2030年までに、水ストレスエリアの全製造工場およびすべてのフェアブント拠点において持続可能な水管理を導入

35.8%

2021年までに、管理職に占める女性比率を22~24%に増加

2030年までの新たな目標:30%

23%

2025年までにアクセラレーター製品の売上高 4で220億ユーロを達成

150億ユーロ

2025年までに、全世界での20万労働時間当たりのプロセス安全関連事故の発生率を0.1以下に削減

0.3

BASFで自身が成長でき最高の成果を上げることができると感じる社員の割合を80%以上にする

79%

2025年までに、調達における支出5の90%を占めるサプライヤーに対して持続可能性評価を行う

81%

80%のサプライヤーの持続可能性パフォーマンスを改善する

52%

世界の化学品生産を上回るスピードでの販売量の拡大を毎年達成

– 3% 世界の化学品生産:1.8%

特別項目控除前EBITDAを年率3~5%増加

– 11%

資本コスト率を大幅に上回る投下資本利益率(ROCE)2を毎年達成

7.7% (資本コスト:10%)

好調なフリー・キャッシュフローを背景に1株当たり配当金の増額を毎年実現

3.30ユーロ3

(2018年:3.20ユーロ)

BASF in Japan Report 20198

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活動領域

お客様が認める世界をリードする化学会社になるために、私たちはイノベーションや生産体制を強化し、デジタルテクノロジーやデータを活用して、自社およびお客様に対する付加価値を創出します。事業運営においてはサステナビリティの考え方をさらに深く組み込むとともに、お客様に対する情熱をさらに醸成していきます。また、顧客ニーズにさらに的確に応えるために、フェアブントの力を活用したポートフォリオの強化や組織の効率化を推し進めていきます。こうした目標達成のために、私たちのあらゆる活動の基盤となる6つの活動領域を設定しました。

イノベーション私たちが目指すのは、お客様が化学の力で解決できる課題に直面した時に、最も魅力的なパートナーとなることです。私たちの研究開発能力は化学業界の中でもトップクラスです。この強みを活かして、お客様とともにイノベーションに取り組んでいきます。より迅速に市場に製品を届けることができるようにするために、イノベーションプロセスの改善にも継続的に取り組んでいきます。

サステナビリティ私たちの製品、ソリューション、技術が、環境や社会、経済に対して付加価値をもたらすことによって初めて、私たちは長期的な成功を収めることができます。私たちはサステナビリティの分野における思想的リーダーでありたいと考えており、そのために、意思決定プロセスやビジネスモデルにおいてサステナビリティをさらに重視しています。これにより、長期的な成功を確実なものとし、ビジネスの機会を創出し、そしてお客様を支える重要なパートナーとしての存在感を高めていくことができます。

生産私たちは、お客様に仕様通りの製品を納期通りに納品できるよう、安全性、効率性、信頼性の高い生産活動に日々取り組んでいます。また、プラントの信頼性や有効性、さらには迅速性の向上にも努めています。それ以上に、事業プロセスの改善を継続的に推し進め、既存設備のボトルネックを効果的に解消していくことが、競争力を確保する上で最も重要です。

デジタル化デジタル化はBASFの事業に不可欠な要素です。デジタル化により、お客様に付加価値を提供し、私たちの事業を成長させ、効率性を向上させることができます。お客様に有益なデジタル化の機会を常に提供できるよう、社員のデジタルスキル向上を積極的に推進しています。

顧客志向の向上を図るための活動領域

デジタル化

サステナビリ

ティ生産

ポートフォリオ

人材

イノベーション

お客様

ポートフォリオ私たちは事業ポートフォリオを整理し、資本配分を成長領域へ集中させます。主に設備投資やイノベーションによる有機的な成長に焦点を当てます。また、戦略的合理性があり価値創出につながるような買収にもターゲットを絞り込んで注力していくとともに、戦略的合理性を失ったものについては事業譲渡も行います。事業セグメント制により、事業の運営方法、バリューチェーンの重要性、フェアブント(統合生産)が果たす役割についての透明性が向上しています。物理的、技術的な側面、および市場やデジタル面での統合をもたらすフェアブントは、私たちのポートフォリオの中核であり、私たちの強みです。

人材私たちは、競争が激化する市場環境の中で成功していくために、競合他社に対する自社の各事業の位置付けを明確化し、高い成果を上げる組織を確立することを目指しています。企業戦略を成功裏に実行するのは私たち自身であり、社員のエンゲージメントが鍵となります。BASFは、差別化されカスタマイズされた製品やサービス、ソリューションをお客様に提供する上で必要となるツールやスキルを社員に提供しています。私たちのビジネスモデルや組織体制は、各ビジネスユニットがそれぞれの市場セグメントにおいて最適な活動を行うことができるように構築されています。

BASFグループ

私たちのバリュー私たちの行動や活動の指針となります。

Creative(創造性):お客様にとって最適な製品やソリューションを提供します。そのために、大胆なアイデアを受け入れ、育む余地を与えます。前向きに行動し、お互いに刺激し合います。

Open(オープン):人、意見、経験の多様性を尊重します。そのために、誠実さ、尊敬、相互信頼に基づくフィードバックを奨励します。失敗から学びを得ます。

Responsible(責任):人々の健康と安全をなによりも大切にします。サステナビリティをすべての意思決定に組み込みます。コンプライアンスを徹底し、環境基準に厳格に従います。

Entrepreneurial(起業家精神):個人として、そして会社としてお客様を重視します。チャンスをつかみ、先を見越して考えます。主体性を持ち、個人の説明責任を果たします。

BASF in Japan Report 2019 9

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各地域におけるBASF2019年売上高:593億16百万ユーロ 2019年営業利益(EBIT、利息・税金控除前利益):40億52百万ユーロ

各地域におけるBASF

北米地域

16,420売上高 1(百万ユーロ)

692営業利益(EBIT、

利息・税金控除前利益)(百万ユーロ)

19,355従業員 2(人) 南米・アフリカ・

中東地域

3,806売上高 1(百万ユーロ)

302営業利益(EBIT、

利息・税金控除前利益)(百万ユーロ)

7,486従業員 2(人)

ガイスマー

サンパウロ

アントワープ

フリーポート

フローハムパーク

ルートヴィッヒスハーフェン

BASF in Japan Report 201910

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各地域におけるBASF

欧州地域

25,706売上高 1(百万ユーロ)

1,976営業利益(EBIT、

利息・税金控除前利益)(百万ユーロ)

72,153従業員 2(人)

アジア太平洋地域

13,384売上高 1(百万ユーロ)

1,082営業利益(EBIT、

利息・税金控除前利益)(百万ユーロ)

18,634従業員 2(人)

● 各地域における本部● 主な生産拠点● フェアブント拠点(統合生産拠点)

計画中のフェアブント拠点● 主な研究開発拠点

1 2019年、会社所在地別売上高2 2019年末時点

クアンタン

香港

湛江

南京

BASF in Japan Report 2019 11

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BASF in Japan Report 201912

18,634142 億ユーロ

4

11 億ユーロ1,376

約 96億ユーロ2020年 – 2024年

100

19 2

100

従業員数

人 女性比率 26%

売上高(顧客所在地別)

アジア太平洋地域における主要研究開発拠点数

営業利益(会社所在地別)

新規採用者数

人 女性比率 32.3%

BASFのアジア太平洋地域における投資計画

事業所

市場

事業展開

フェアブント拠点(統合生産拠点)

生産拠点

期間:

BASF in Japan Report 201912

アジア太平洋地域のBASF

アジア太平洋地域のBASF概要

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アジア太平洋地域のBASF

イノベーション

化学におけるイノベーションは、経済や社会の発展、環境問題の改善に資する力があり、急速な都市化に伴って人口が増加し続けるアジア太平洋地域の人々のニーズを満たす上で、重要な役割を担っています。BASFは、研究開発機能を継続的に拡充することによって、このダイナミックに変化する地域のイノベーションを推進していきます。

アジア太平洋地域における研究開発機能の拡充

■ お客様との協働強化のためにアジアにおけるイノベーション能力を拡大

■ クリエーションセンターがお客様の創造的なアイデアを商業的なソリューションにつなげるプロセスを支援

BASFはアジア太平洋地域における研究開発拠点の拡充に継続的に取り組み、初期の段階から、お客様と市場のニーズを統合することによってイノベーションを推進してきました。BASFは中国、インド、日本、韓国に主要な研究開発拠点を展開しています。

BASFは中国・上海とインド・ムンバイの2カ所にイノベーション・キャンパスを開設しています。これは、研究開発部門や事業ユニット、生産ユニットなどのすべての関係部門を一つの統合拠点に集約させるという、アジア太平洋地域独自の取り組みです。イノベーション・キャンパスは、BASFのグローバルなノウハウ・フェアブントを構成する重要な要素であり、グローバル規模から地域ごと、国ごとの規模に至る、幅広い研究開発プロジェクトを実行しています。

イノベーション・キャンパス上海は、中国・上海のBASF上海浦東(プドン)イノベーションパーク内に2012年に開設され、2015年と2019年にはその規模を拡張しています。イノベーション・キャンパス上海は、先端材料&システムリサーチのグローバル本部です。

イノベーション・キャンパス上海では、先端材料、ケミカルプロセス工学、環境触媒の各分野において広範囲にわたる研究が行われて

います。各事業の技術開発機能に工業デザインの知見も組み合わせることで、イノベーション・キャンパス上海は、ほぼすべての主要産業のイノベーションニーズに対応しています。

BASFは、アジア太平洋地域において研究開発に携わる人材の採用や育成、確保を目的とする職業訓練センターをイノベーション・キャンパス上海内に設置しました。ここでは、上海の大学と共同で、ラボアシスタント育成のための特別プログラムを開発しています。これは、若い有能な人材が優れたスキルを身に付け、研究開発の分野におけるキャリアを構築していくことを支援するプログラムです。

イノベーション・キャンパス・ムンバイでは、作物保護と特殊化学品に焦点を当てた補完的な研究を行っており、アジア太平洋地域において成長し続けるBASFの研究開発ネットワークの要となっています。ここには、化学合成や応用、プロセス開発、解析を行うための最先端の研究施設もあります。イノベーション・キャンパス・ムンバイは、ナビムンバイのターネーサイト内の事務所棟や生産プラントに隣接しており、新規も既存も、研究開発活動のすべてを1カ所に集約しています。

アジア太平洋地域の主要研究開発拠点

● イノベーション・キャンパス

● その他の主要研究開発拠点

上海水原 尼崎

ムンバイ

アジア太平洋地域の研究開発拠点

イノベーション・キャンパス上海 ■ 注力分野:先端材料、プロセス工学、触媒 ■ クリエーションセンター

イノベーション・キャンパス・ムンバイ ■ 注力分野:作物保護、特殊化学品 ■ クリエーションセンター

尼崎研究開発センター ■ 注力分野:バッテリー材料

水原研究開発センター ■ 注力分野:エレクトロニクス

イノベーション・キャンパス上海は、アジア太平洋地域のBASFの研究開発拠点としては最大の規模を有する、先端材料&システムリサーチのグローバル本部です。

BASF in Japan Report 2019 13

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アジア太平洋地域のBASF

2019年にBASFは、ムンバイ、横浜、上海の3カ所に新たにクリエーションセンターを開設しました。クリエーションセンターは、BASFのエキスパートがお客様とともにコンセプトやアイデアを創造的なソリューションへと変換する場です。BASFの素材サンプルや用途事例などを備え、お客様がBASFの素材を活用して、新製品やソリューション、既存製品の改良のアイデアを発見(Discover)、理解(Understand)し、そして創造(Create)するためのリソースを提供します。お客様は、BASFのエキスパートとともに素材サンプルを手に取りながら質感や、特徴を確認したり、タブレットなどのデジタルツールで素材について理解を深めたり、アイデアを生み出す一助となるコンサルティングワークショップに参加したりすることができます。

アジア太平洋地域全体においては、個々の分野に特化したBASFの研究開発センターが、域内の資源効率や生活の質などの様々な課題の克服に寄与する革新的なソリューションの開発に取り組んでいます。日本の尼崎研究開発センターでは、バッテリーの性能向上につながる革新的な材料の開発に注力しています。韓国の水原(スウォン)の研究開発センターでは、韓国国内およびアジア太平洋地域内の主要顧客との密な協働により、エレクトロニクス材料の開発に取り組んでいます。

産学共同のオープンイノベーションの推進

■ アジア・オープンリサーチ・ネットワーク(NAO)をインドに拡大■ 共同研究プロジェクトにおけるパートナー探しのプラットフォームを提供する清華 X-Labとの新しい協働

BASFは、世界各国の学術界および産業界のパートナーとの密接な連携を通じたオープンイノベーションを重視しています。大学、研究機関、一般企業など約300のパートナーとのグローバルネットワークを構築しており、これがBASFのグローバルなノウハウ・フェアブントの主軸となっています。アジア太平洋地域では、BASFと地域内の主要な大学および研究機関が推進する共同プラットフォームとして、アジア・オープンリサーチ・ネットワーク

(Network for Asian Open Research/NAO)が2014年から稼働しています。

BASFは2019年、インド工科大学ボンベイ校(IITB)やプネ国立化学研究所(NCL)をパートナーに加えることで、協働ネットワークをさらに拡大しました。協働ネットワークは、中国、日本、韓国、インドの12のパートナーまで拡大し、アジア太平洋地域におけるBASFのオープンイノベーションの可能性をさらに強化しています。

BASFでは、革新的で持続可能なソリューションの創出につながる有望なアイデア発掘の取り組みをさらに拡大させています。BASFと清華X-Lab (清華大学の革新的な教育プラットフォーム)は、共同で「innovate (48)」を主催しました。これは、環境分野でのサステナビリティに貢献する科学的なイノベーションプロジェクトを見出すことを目的とした、48時間の起業コンペです。11のプロジェクトチームがそれぞれのアイデアについてプレゼンを行い、スタートアップ投資家や企業インキュベーター(BASFベンチャーキャピタルを含む)が審査を担当しました。最優秀賞に輝いたのは北京のTC air Techチームでした。最優秀チームは今後、BASFから化学イノベーションに関する専門知識の提供などのサポートを受けながら、プロジェクトをさらに発展させていくことになります。

NAOの設立以来、BASFとパートナーは43以上の共同研究プロジェクトを実施しており、ポスドクの学生11名がプロジェクト完了後にBASFに入社しています。現在、NAOのプロジェクトでは、新規モノマーやポリマー、表面や材料インターフェイス、塗料、ゼオライト、殺虫剤、さらには研究開発のデジタル化などのテーマを取り扱っています。四川大学と提携し、高い耐薬品性を備えたポリアミドブレンドなど、市場ニーズの高い優れたソリューションの研究に取り組んでいることもその一例です。

上海、横浜、ムンバイに開設されているクリエーションセンターでは、お客様のコンセプトやアイデアを創造的なソリューションにつなげるプロセスを支援しています。

イノベーション・キャンパス上海内に開設された職業訓練センターでは、ラボアシスタントの育成に特化したプログラムを設けています。

BASF in Japan Report 201914

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日本のBASF概要

BASFは1888年より日本市場のパートナーとして事業活動を行っています。国内にも生産および研究開発拠点を構え、自動車、建設、医薬品・医療機器、電機・電子、包装材、パーソナルケア・ホームケア、農業・食品など、ほぼすべての産業に製品とソリューションを提供し、国内およびグローバル市場で活躍する日本のお客様の成功に貢献しています。

日本との関わりは、BASFが初めて日本市場にアプローチした明治時代に遡ります。当時、BASFの代表的な合成染料である「インディゴ・ピュアBASF」が日本に輸入され、「紺がすり」にも採用されました。1949年にはBASFジャパン株式会社の母体となるカラケミー貿易株式会社が設立されました。

現在、BASFは国内に7カ所の生産拠点を設けており、自動車用塗料の製造・開発を行う戸塚工場、主にパーソナル・ケア製品向けの油性剤およびワックスの製造・開発を行う北利根工場、熱可塑性ポリウレタン(TPU)の製造・開発を行う四日市霞工場、ディスパージョンを製造する四日市六呂見工場があります。

さらに、触媒事業の一環で貴金属の取引を行うBASF・メタルズ・ジャパン株式会社や、顔料事業を展開するBASFカラー&エフェクトジャパン株式会社も設けています。

加えて、日本のパートナーとの協業も行っており、出光興産株式会社との合弁であるBASF出光株式会社は、1,4-ブタンジオールの製造・販売を、戸田工業株式会社との合弁であるBASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社は、リチウムイオン電池用正極材料の製造・販売を行っています。また、株式会社イノアックコーポレーションとの合弁であるBASF INOAC ポリウレタン株式会社は、ポリウレタン原料、システムズ、エラストマー等を、住友金属鉱山株式会社との合弁であるエヌ・イー ケムキャット株式会社は触媒を製造・販売しています。

研究活動においても、日本はBASFのグローバルネットワークで重要な役割を果たしており、バッテリー材料研究所を併設する尼崎研究開発センターを尼崎市に、エンジニアリングプラスチック・イノベーションセンターとクリエーションセンターを併設する横浜イノベーションセンターを横浜市に設置しています。さらに、山武市には、農薬製品の研究拠点「アグソリューションファーム成東」を構えています。

BASFジャパンの本社では、アクティビティ・ベースド・ワークプレイス(ABW)のコンセプトを取り入れ、社員が仕事内容に合わせて働く場所やセットアップをその都度選択できる環境を整えています。

尼崎研究開発センターバッテリー材料研究所

農薬製品の研究拠点「アグソリューションファーム成東」

日本のBASF

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戸塚

尼崎

横浜四日市(六呂見、霞)

千葉小野田

北九州

東京北利根

日本のBASF

● BASFジャパン本社● 生産拠点● R&D / テクニカルセンター

7生産拠点

● 四日市六呂見工場 / BASFジャパン● ● 四日市霞工場 / BASFジャパン● 尼崎研究開発センター / BASFジャパン● ● 小野田事業所 / BASF戸田バッテリーマテリアルズ● 北九州事業所 / BASF戸田バッテリーマテリアルズ

● ● 北利根工場 / BASFジャパン● 千葉工場 / BASF出光● アグソリューションファーム成東 / BASFジャパン● 横浜イノベーションセンター / BASFジャパン● ● 戸塚工場 / BASFジャパン

BASFとLone Starの関連会社は2019年12月、BASFの建設化学品事業の譲渡譲受契約を締結しました。取引は、関連する競争当局の承認を条件として、2020年第3四半期に完了する予定です。これに伴い、建設化学品事業の拠点を除外しています。

2019年の売上高 (顧客所在地別)

18億ユーロ

従業員数 (2019年12月31日現在)

1,102人BASF in Japan Report 201916

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日本のBASF

主な生産・研究開発拠点

BASFジャパン/戸塚工場

■ 1964年設立■ 自動車用塗料の製造、開発

BASFジャパン/北利根工場

■ 1970年設立■ 油性剤およびワックスの製造、開発

BASFジャパン/四日市霞工場

■ 1989年設立■ 熱可塑性ポリウレタン(TPU)の製造、開発

BASFジャパン/四日市六呂見工場

■ 1963年設立■ ディスパージョンの製造

BASF出光/千葉工場

■ 1987年設立■ 1,4-ブタンジオールの製造

BASF戸田バッテリーマテリアルズ/小野田事業所

■ 2003年設立■ 正極材および前駆体の製造、開発

BASF戸田バッテリーマテリアルズ/北九州事業所

■ 2002年設立■ 正極材の製造

BASFジャパン/尼崎研究開発センター

■ 2001年設立■ エレクトロニクス、包装材料およびコーティング材料の開発

バッテリー材料研究所

■ 2013年設立■ バッテリー材料の開発

BASFジャパン/横浜イノベーションセンター

エンジニアリングプラスチック・イノベーションセンター

■ 2012年設立■ エンジニアリングプラスチック分野でのテクニカルサポート

クリエーションセンター

■ 2019年開設1

■ 素材を体感できる場を提供し顧客のイノベーションを支援

BASFジャパン/アグソリューションファーム成東

■ 2017年開設■ 農薬製品の実圃場に近い条件での試験の実施

1 2014年に開設したデザインファブリーク東京を改組

BASFとLone Starの関連会社は2019年12月、BASFの建設化学品事業の譲渡譲受契約を締結しました。取引は、関連する競争当局の承認を条件として、2020年第3四半期に完了する予定です。これに伴い、建設化学品事業の拠点を除外しています。

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日本のBASF

日本の主要産業を支えるBASFのソリューション日本では、BASFがグローバルに展開するすべての事業セグメント、「ケミカル」「マテリアル」「インダストリアル・ソリューション」「サーフェステクノロジー」「ニュートリション&ケア」「アグロソリューション」を展開しています。幅広い事業ポートフォリオを通して、自動車、建設、医薬品・医療機器、電機・電子、包装材、パーソナルケア・ホームケア、農業・食品など、ほぼすべての産業に製品とソリューションを提供し、国内およびグローバル市場で活躍する日本のお客様の成功に貢献しています。

自動車産業

BASFは、化学品業界における世界最大の自動車部品向けサプライヤーです。日本においても、エンジン周りから外装に至るまであらゆる製品を提供し、環境への影響を軽減する様々なソリューションを提案しています。

BASFのソリューションは、自動車の軽量化やe-モビリティ、その他のイノベーションにも貢献しています。

主な製品例:エンジニアリング・プラスチック(エンジン周辺部品向け)、バッテリー材料(リチウムイオン電池向け)、ポリウレタン(内装部品、サスペンション内の制振材料)、エンジン液 /ブレーキ液、自動車用塗料、自動車補修用塗料、自動車触媒など。

建設産業

BASFは、建設業界の業務効率化を促すソリューションを提供し、作業効率の向上、エネルギー消費量の抑制、建物の耐用年数および耐久性の向上により、持続可能な建造物に貢献しています。

BASFは持続可能な建造物に貢献する革新的なソリューションを建設産業に提供しています。

主な製品例:断熱材、吸音材、ポリアミド樹脂、光安定剤、プラスチック添加剤、湿潤剤、ディスパージョンなど。

医薬品・医療機器産業

日本における人口構成や医療行政の変化を背景に、BASFは、ますます高まる医療・健康産業のニーズに貢献する製品の開発に取り組んでいます。安全で革新的な医薬品製造を可能にする有効成分や添加剤を提供するほか、医療や健康管理、介護のシーンにも活躍の場を広げています。

BASFは、医薬品および健康管理の分野におけるイノベーションを支援しています。

主な製品例:溶剤、触媒、試薬、医薬品有効成分、可溶化剤などの医薬品添加剤、非フタル酸系可塑剤など。

BASF in Japan Report 201918

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日本のBASF

電機・電子産業

日本は電子分野における世界的なリーダーであり、BASFはこの分野においても幅広い製品を提供しています。ディスプレイ関連のソリューションのほか、センサーや情報処理デバイスを通じて、デジタル化やクリーンエネルギーなどに向けた最先端のイノベーションを提供しています。

BASFは、電子業界において幅広いソリューションを提供することにより、サステナビリティとイノベーションの実現を支援しています。

主な製品例:ディスプレイ向け素材:液晶パネル用有機顔料、液晶ディスプレイ内カラーフィルター用光重合開始剤など。社会インフラ向け素材:電気機器向け潤滑油および油圧油、金属加工用添加剤など。

包装材産業

BASFは、食品を長持ちさせ、鮮度を封じ込める包装材向け製品や、意匠性向上・軽量化に寄与する素材を提供しています。また、認証を取得している生分解性プラスチックを生産し、包装材などの用途に提供しています。

BASFのソリューションは、包装材の発展に貢献しています。

主な製品例:高付加価値包装材料:高いバリア性、強度を持つナイロンフィルム向けポリアミド、ペットボトル用紫外線吸収剤、色材、パール顔料など。リサイクルおよび生分解可能な包装材料:生分解性プラスチック、 ラミネート代替内面コート剤など。

パーソナルケア・ホームケア産業

BASFは、スキンケアやヘアケア製品、洗濯洗剤などの日用品に欠かすことのできない原料を提供し、人々の快適な生活を支えています。

BASFの製品は日常生活を支えています。

主な製品例:スキンケア/ヘアケア用化粧品原料:界面活性剤、ポリマー、油性剤、有効成分、紫外線吸収剤など。ホームケア/業務用洗剤原料:界面活性剤、キレート剤、バイオサイド、安定剤など。

農業・食品産業

BASFは効率のよい作物栽培を可能にする農薬・農業資材、栄養素を補完するビタミン類、より持続可能な畜産に貢献する飼料添加物などを通して、日本の農業・食品産業を支えています。

BASFは、日本各地の農業生産者と連携しています。

主な製品例:農業用殺菌剤、殺虫剤、除草剤、デジタル農業ソリューション“xarvio®”、食品添加物、飼料添加物など。

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日本のBASF

2019年 日本における主な活動

BASFは日本市場で求められるニーズにさらに対応していくため、投資活動や組織再編を継続的に行っています。また、日本発のイノベーションを世界に向けて発信するため、日本の顧客や研究ネットワークと協働し、研究開発を強化しています。2019年、BASFジャパンは創立70周年を迎えました。引き続きBASFグループと日本のお客様との懸け橋となり、双方の強みを融合していきます。

事業展開

2019年、日本におけるBASFの売上高は、ユーロベースで17億97百万ユーロ(2018年:16億71百万ユーロ)、現地通貨(日本円)ベースでは2,194億円(2018年:2,178億円)に増加しました。

2019年、BASFは日本のお客様およびビジネスパートナーとの協業をさらに強化しました。BASFは日本ガイシ株式会社とNAS電池の販売提携契約、および次世代ナトリウム硫黄電池の共同研究契約を締結しました。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)および昭和電線ケーブルシステム株式会社が推進する、低コスト超電導ケーブルシステムの実証試験の支援も開始しました。

また、BASFは革新的な素材により、様々なプロジェクトを通して、ブランドオーナーを支援しました。塗料の耐久性の重要性を訴求する菊水化学工業株式会社との共同ブランディングや、トレーニングシューズの性能を向上させるミズノ株式会社との協業、株式会社イノフィスのマッスルスーツ®のさらなる軽量化と快適性の向上を図る取り組みなどが挙げられます。

さらに8月には、BASFの素材を活用して新製品やソリューション、既存製品の改良のアイデアを発見(Discover)、理解(Understand)、創造(Create)するためのリソースを提供する「クリエーションセンター」を横浜に開設しました。

お客様のアイデアをソリューションに変換するクリエーションセンター

環境保護・健康・安全

BASFでは、人々の健康と安全をなによりも大切にします。これはBASFの企業戦略の根底をなすものであり、自社施設の運用や取引先との対応におけるBASFの理念でもあります。日本を含めBASFがグローバルに展開しているResponsible Care®

(レスポンシブル・ケア®)方針には、環境保護、健康、安全、セキュリティ、そしてエネルギー効率というテーマが盛り込まれており、レスポンシブル・ケア マネジメント システム(RCMS)を通じて現場で運用されています。

2019年には、三重県四日市市で熱可塑性ポリウレタン(TPU)の製造を行う霞工場が、無休業災害30年を達成しました。安全を文化として継承し、より安全な操業を目指して常に努力を重ねてきた証です。また、社員の健康および生産性の維持・促進を目的にグローバルで実施しているヘルスキャンペーンでは、「今、この瞬間―マインドフルネス」を2019年のテーマに掲げ、社員がストレス軽減やパフォーマンスの向上に役立つマインドフルネスについて学ぶ機会を設けました。

無休業災害30年を達成した霞工場

戸塚工場では、自衛消防隊が定期的に消防訓練を実施しています。

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日本のBASF

社員と社会

社員は、BASFの長期的な成功を実現する財産です。社員のスキルや責任感、熱意はBASFの競争力の源であり、未来に向けて突き進んでいく原動力となります。

日本のBASFでは、採用から次世代リーダー育成に至るまで、継続的な評価に基づいた人材育成を行い、パフォーマンス・マネジメント・システムを通じて、高い組織パフォーマンスと個々の成長を同時に実現しています。また、社員の育成のニーズに応じた、ローカル、アジア太平洋地域、グローバルでの研修・育成プログラムも実施しています。

日本のBASFでは2019年、社員が効率的な働き方を選択できる体制をさらに整え、コアタイムのないスーパーフレックスタイム制度やテレワーク制度を導入しました。また、会社全体の生産性を高めるため、経費精算、会議効率化、社内情報検索などの分野において、様々な施策をボトムアップで策定し実施しています。

BASFの社員は、性別や人種、年齢に関わらず平等な機会を与えられており、日本のBASFでは2019年末時点で20カ国の異なる国籍の社員が働いています。多様性はグローバル市場の厳しい競争の中で成功するための戦略的強みとなります。また、社員が互いの多様性を受け入れて価値を引き出し互いに認め合うことで、やる気にあふれた職場環境の実現が可能だと考えます。多様性の尊重は、BASFのコンピテンシーに基づき、全社員に期待される行動です。

2019年末現在、日本におけるBASFの従業員数は1,102人です(2018年末は1,138人)。

働き方改革の一環として導入したチャットボットが、時間帯を問わず、社員の情報検索をサポートしています。

BASFジャパン創立70周年を記念して、様々な社内イベントを実施しました。

BASFは「教育」を柱に様々な社会貢献活動を行っています。「子ども実験教室」はその一つです。シンプルで安全な化学実験を通して、子どもたちに化学の楽しさを伝えています。1997年にドイツ本社でスタートし、現在は30カ国以上で開催しています。日本では2003年より開催し、これまでに4,900人以上の子どもたちが参加しています。また、横浜の戸塚工場では地域の方との交流を目的に、夏祭りを毎年開催しています。

2019年8月には岡山県倉敷市真備町にて、2018年に発生した西日本豪雨の影響を受けた子どもたちを対象に、「子ども実験教室」を公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと共同で開催しました。

また、10月に迎えたBASFジャパン創立70周年を記念して、毎年100を超える国と地域で行われている海洋環境保護活動「国際海岸クリーンアップ(International Coastal Cleanup: ICC)」キャンペーンへの参加を表明するとともに、11月にはサザンビーチちがさき(神奈川県)にてクリーンアップ活動を実施しました。

子どもたちは、食べ物や飲み物に含まれる物質を調べ、色とりどりの野菜やフルーツを食べることが体にとって大切であることを学びました。

クリーンアップ活動には社員有志およびその家族約110名が参加し、ICC世界共通の手法により、集めたごみの分類と計測を行いました。

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日本のBASF

日本のBASF 主要データ

2019 2018 2017

業績

売上高(顧客所在地別) 百万ユーロ 1,797 1,6711 1,686

社員(12月31日時点)

従業員数 人 1,102 1,138 1,087

実習生数 人 – – –

年齢別従業員構成比

26歳未満 % 2.6 2.4 2.0

26歳~39歳 % 26.4 28.3 28.2

40歳~54歳 % 54.7 54.0 56.3

55歳以上 % 16.3 15.3 13.5

性別

女性 % 20.7 – –

男性 % 79.3 – –

寄付金および賛助金

総支出 ユーロ 188,970 – –

うち寄付金 % 71.0 – –

労働安全

休業災害発生率 - 正社員、契約・派遣社員、協力会社社員 20万労働時間当たり 0.05 0.12 0.06

正社員、契約・派遣社員および協力会社社員の死亡事故 0 0 0

プロセス安全に関わる事故 20万労働時間当たり 0.16 0.12 0.12

環境

エネルギー使用量

電気使用量 MWh 83,493 89,108 59,382

蒸気使用量 トン 85,312 128,262 97,618

燃料使用量 MWh 14,976 27,571 16,770

排ガス

温室効果ガス トン、CO2換算 64,054 76,729 50,941

大気汚染物質(CH4除く) トン 20.08 26 24

排水、水使用量

有機物排出量(COD) トン 5.05 5.84 5.36

窒素排出量 トン 0.34 0.41 0.39

重金属排出量 トン 0.15 0 0

水使用量 百万立方メートル 0.52 0.54 0.45

製造用水使用量 百万立方メートル 0.39 0.36 0.30

冷却水使用量 百万立方メートル 7.64 8.21 6.76

廃棄物

廃棄物排出量 トン 8,744 9,790 9,182

廃棄物リサイクル(熱回収量) % 57 64 62

1 2018年の売上高は、遡及修正しています。

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日本の主な連絡先

日本の主な連絡先

BASFジャパン株式会社本社103-0022 東京都中央区日本橋室町3丁目4番4号OVOL日本橋ビル3階TEL: 03-5290-3000FAX: 03-5290-3333

BASF・メタルズ・ジャパン株式会社本社105-6124 東京都港区浜松町2丁目4番1号世界貿易センタービル24階TEL: 03-3578-6661FAX: 03-5425-7481

BASFカラー&エフェクトジャパン株式会社本社103-0022 東京都中央区日本橋室町3丁目4番4号OVOL日本橋ビル3階TEL: 03-5290-2424FAX: 03-5290-2425

BASF出光株式会社本社103-0022 東京都中央区日本橋室町3丁目4番4号OVOL日本橋ビル3階TEL: 03-5290-2400FAX: 03-5290-2410

BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社本社108-0075 東京都港区港南2丁目16番4号品川グランドセントラルタワー6階TEL: 03-6451-4660FAX: 03-6451-4650

ポゾリス ソリューションズ株式会社本社253-0071 神奈川県茅ヶ崎市萩園2722TEL: 0467-84-9640FAX: 0467-84-9648

BASF INOAC ポリウレタン株式会社本社・工場441-1347 愛知県新城市川田字本宮道1番196号TEL: 0536-23-5511FAX: 0536-23-0300

エヌ・イー ケムキャット株式会社本社105-6124 東京都港区浜松町2丁目4番1号世界貿易センタービル24階TEL: 03-3435-5490FAX: 03-3435-5484

詳細情報本レポートのPDFデータは、BASFジャパンのウェブサイト(下記QRコード)から入手可能です。

連絡先

BASFジャパン株式会社 コミュニケーションズ部〒103-0022 東京都中央区日本橋室町3丁目4番4号OVOL日本橋ビル3階TEL:03-5290-3000 FAX:03-5290-3333

BASFは化学業界の世界中のレスポンシブル・ケアの取り組みを支援しています。

発行元BASFジャパン コミュニケーションズ部

その他の拠点についてはこちらをご参照ください

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BASFグループ10年間の業績概要

BASFグループ10年間の業績概要百万ユーロ

2010 2011 2012 1 2013 2 2014 2015 2016 2017 3 2018 2019

売上高と利益

売上高 63,873 73,497 72,129 73,973 74,326 70,449 57,550 61,223 60,2204 59,316

営業利益(EBIT、利息・税金控除前利益) 7,761 8,586 6,742 7,160 7,626 6,248 6,275 7,587 5,9744 4,052

税引前利益 7,373 8,970 5,977 6,600 7,203 5,548 5,395 6,882 5,2334 3,302

継続事業からの税引後利益 – – – – – – – 5,592 4,1164 2,546

非継続事業からの税引後利益 – – – – – – – 760 8634 5,945

税引後利益 5,074 6,603 5,067 5,113 5,492 4,301 4,255 6,352 4,979 8,491

当期純利益 4,557 6,188 4,819 4,792 5,155 3,987 4,056 6,078 4,707 8,421

利息・税金・償却控除前利益(EBITDA) 11,131 11,993 10,009 10,432 11,043 10,649 10,526 10,765 1 8,9704 8,036

特別項目控除前営業利益 8,138 8,447 6,647 7,077 7,357 6,739 6,309 7,645 1 6,2814 4,536

設備投資と減価償却

有形・無形固定資産の増加 5,304 3,646 5,263 7,726 7,285 6,013 7,258 4,364 10,735 4,097

うち有形固定資産分 3,294 3,199 4,084 6,428 6,369 5,742 4,377 4,028 5,040 3,842

有形・無形固定資産の減価償却額 3,370 3,407 3,267 3,272 3,417 4,401 4,251 4,202 3,7504 4,146

うち有形固定資産分 2,667 2,618 2,594 2,631 2,770 3,600 3,691 3,586 3,1554 3,408

従業員数(人)

期末 109,140 111,141 110,782 112,206 113,292 112,435 113,830 115,490 122,404 117,628

年平均 104,043 110,403 109,969 111,844 112,644 113,249 111,975 114,333 118,371 119,200

人件費 8,228 8,576 8,963 9,285 9,224 9,982 10,165 10,610 10,659 10,924

研究開発費 1,492 1,605 1,732 1,849 1,884 1,953 1,863 1,843 1 1,9944 2,158

主要データ

1株当たり当期純利益 ユーロ 4.96 6.74 5.25 5.22 5.61 4.34 4.42 6.62 5.12 9.17

調整後1株当たり当期純利益 ユーロ 5.73 6.26 5.64 5.31 5.44 5.00 4.83 6.44 5.87 4.00

営業活動によるキャッシュフロー 6,460 7,105 6,602 8,100 6,958 9,446 7,717 8,785 7,939 7,474

売上高対EBITDA比率 % 17.4 16.3 13.9 14.1 14.9 15.1 18.3 17.6 14.94 13.5

総資産純利益率(ROA) % 14.7 16.1 11.0 11.5 11.7 8.7 8.2 9.5 7.1 4.5

株主資本純利益率(ROE after tax) % 24.6 27.5 19.9 19.2 19.7 14.4 13.3 18.9 14.1 21.6

投下資本利益率(ROCE) % – – – – – – – 15.4 12.04 7.7

利益処分

BASF SEの当期純利益5 3,737 3,506 2,880 2,826 5,853 2,158 2,808 3,130 2,982 3,899

配当金 2,021 2,296 2,388 2,480 2,572 2,664 2,755 2,847 2,939 3,030

1株当たり配当金 ユーロ 2.20 2.50 2.60 2.70 2.80 2.90 3.00 3.10 3.20 3.30

期末発行済株式数 百万株 918.5 918.5 918.5 918.5 918.5 918.5 918.5 918.5 918.5 918.5

1 2013年1月1日より国際財務報告基準(IFRS)第10号、同第11号ならびに国際会計基準(IAS)の第19号を適用しています。2012年の数値は修正再表示していますが、2011年以前の数値は修正していません。2 2013年の数値は、天然ガス取引事業廃止グループの解散を反映し、調整されています。詳細はbasf.com/reportの連結財務諸表をご覧ください。3 2017年の数値は、石油およびガスに関する活動を非継続事業として表示したことに伴い修正再表示されています。詳細はbasf.com/reportの連結財務諸表をご覧ください。4 2018年の数値は、建設化学品の事業活動を非継続事業として表示したことに伴い修正再表示されています。詳細はbasf.com/reportの連結財務諸表をご覧ください。5 ドイツの一般会計原則(GAAP)に基づいて算出されています。

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このページの写真:ドイツ・ルートヴィッヒスハーフェンのフェアブント拠点(統合生産拠点)。敷地面積約10km2、世界最大の統合化学コンビナートです。約200の生産プラントが密接に結び付けられ、複雑かつ高度に精製された製品を生産するための環境が整えられています。この拠点は、BASFグループの技術プラットフォームおよびコンピテンスセンターであり、製品、手法、プロセスにおけるイノベーションの重要な源です。

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