Post on 06-Jul-2020
transcript
端末・ソフトウエア技術端末・ソフトウエア技術ユビキタスサービスを実現する端末技術およびソリューションビジネスにつながるソフトウエア技術
目次
■ 保護者参加型子ども見守りシステム(メルロボ連絡帳)
■ Linux用ログ構造化ファイルシステム(NILFS)
■ ミリ波表層透視スキャナ(クラックスキャン)
端末・ソフトウエア技術端末・ソフトウエア技術子どもの見守り 保育施設 ロボット 携帯電話
copyright©2007NTTH-SW-1
NTTサイバーソリューション研究所
メルロボ連絡帳の概要
保護者参加型子ども見守りシステム(メルロボ連絡帳)
近年、子どもの保育現場では、より高い「安心」「安全」が求められており、保護者が子どもを遠隔地から見守るサービスや、保護者と
子どもとのコミュニケーションを活性化するサービスへの期待が高まっています。保護者と子どもとのかかわり合いを支援しつつ、
保護者と保育士の情報共有をサポートする試みとして、NTT研究所が開発した携帯メールを用いてロボットとやりとりができる
「ActionSwitchプラットフォーム(AcSP)」と、日本電気株式会社(NEC)が開発した「パーソナルロボットPaPeRo」を連携させた
保護者参加型子ども見守りシステム「メルロボ連絡帳」を開発しました。
保護者には、子どもとロボットが遊んでいる状況に応じて、電子メールや動画メールが送られてきます。保護者は子どもの様子を
動画メールで確認でき、子どもの遊びのリクエストや、子どもが遊んでいる様子の感想を返信することで、ロボットがメールの内容に
応じた見守り動作を行ってくれます。これにより、保護者はロボットを通して、リクエストや感想を子どもや保育士に伝えることができ
ます。また、AcSPに蓄積された子どもの画像を利用した、ブログによる保護者と保育士の情報共有も可能です。
これらの機能を実現するため、AcSPには、保護者からの電子メールの内容に応じて、対応するコマンドをロボットへ送ることを
可能とするコマンド変換技術、蓄積された状態データ、画像データを管理・活用する技術が搭載されています。また、保護者のメール
アドレス、対応する子どものIDをサーバ上で一元管理することで、このシステムへの不正アクセスを排除する技術も搭載しています。
NECと共同で2006年11月より、このシステムを用いたフィールド実験を、幼児施設において実施しています。子どもの見守りや
独り暮らしの高齢者の見守りなど、より安心・安全なライフサポートサービスの研究開発を推進していく予定です。
PaPeRoは、日本電気株式会社の商標または登録商標です。
携帯メールでのロボット操作
蓄積データ活用ブログ
変換
コマンド
状態データ
蓄積データ
家庭保育施設
保護者
電子メール
動画メールActionSwitch
プラットフォーム(AcSP)
●ブログ閲覧●コメント記述
保育士
●データ検索●ブログ作成
画像データ
状態データPaPeRo
端末・ソフトウエア技術端末・ソフトウエア技術ファイルシステム ストレージ技術 Linux OSS
copyright©2007NTTH-SW-2
NTTサイバースペース研究所
NILFSの概要
Linux用ログ構造化ファイルシステム(NILFS)
多くの情報がコンピュータ上に保管されるようになった現在、コンピュータ上のデータに高い可用性が求められています。高信頼な
ハードウエアで冗長度の高いシステムを構成すれば、ハードウエアに起因する障害をほぼ防ぐことができますが、ソフトウエアバグ、
設定ミス、操作ミスなどの人為的なミスによる障害は防ぐことができません。また、ディスク容量の増大に伴い、システムの異常停止後
の復旧時間の増大が問題となります。これらの問題を解決するためにNILFS*1は開発されました。
NILFSは、ファイルシステムの瞬間的な状態(スナップショット)を自動かつ連続的に保存するLinux用のファイルシステムです。
異常停止後の復旧が迅速に行えるだけでなく、過去の任意の状態をいつでも正確に復元できます。また、任意の複数のスナップショット
を選択し、それ以外のスナップショットをオンラインで解放するガベージコレクション機能*2を実現しており、本機能の動作中に障害が
発生しても起動前の状態に復旧できます。技術的には、仮想ブロックアドレス方式*3によるログ構造型のファイルシステムとし、ガベージ
コレクションを含むファイルシステムのすべての操作において、ディスク上のデータの上書きを排除することに成功したため、上述の
機能が提供できるようになりました。NILFSは、Linuxカーネルモジュールとして動作するソフトウエアで、一般的なPCサーバやデスク
トップPCでご利用いただけます。
NILFSは、GNU General Public License(GPL)にてオープンソースソフトウェアとして公開しており、Linux開発者やLinux
ユーザの皆さまの声を基に、システムの安定化や機能の開発に取り組んでいく予定です。なお、最新の情報は(http://www.nilfs.org/ja/)
から入手できます。
*1 NILFS: The New Implementation of a Log-structured File System*2 ガベージコレクション機能: 不要になった記憶領域を後から自動的に解放すること。*3 仮想ブロックアドレス方式: 与えられた仮想ブロックアドレスを変換して得られた値で、ストレージ装置上のデータ格納位置を間接的に指定する方式。
Linuxは、Linus Torvalds氏の日本およびその他の国における商標または登録商標です。
コンソール画面ダンプあの時どんなアプリケーションを動かしていたか?
NILFSスケッチは過去を思い出すためにヒントとなるスナップショットに自動でつけられるタグ
コマンド実行ログあの時どんなコマンドを実行していたか?
ビデオカメラあの時だれがコンソールを操作していたか?
音響センサあの時どんな音がしていたか?
温度センサあの時どんな温度だったか?
スナップショットへの瞬時リカバリー
すべての変更操作を自動的に記録 過去のデータの
復元が容易チェックポイント(+チェックサム、時刻情報)生成
フォルダ
済
済済
済
NILFSスケッチ
検索式
検索エンジン
ファイル
済
書き込み途中
クラックスキャン 実施例
壁紙
クラック
壁紙被覆
透視像
クラック
端末・ソフトウエア技術端末・ソフトウエア技術ミリ波イメージング 非破壊検査 コンクリートクラック 透視
copyright©2007NTTH-SW-3
NTTマイクロシステムインテグレーション研究所
クラックスキャンの実施例
ミリ波表層透視スキャナ(クラックスキャン)
戦後の高度成長期に建設された高速道路などの老朽化したコンクリート構造物や、近年の耐震偽装マンションなどに対する不安が
社会問題化しています。このようなコンクリート構造物を調べる指標の一つとして、クラック(ひび割れ)検査があります。コンクリートの
表面でクラックが発生すると、そこから雨水などが入り込み、内部の鉄筋に到達すると腐食が始まり、鉄筋の強度が落ちて最終的には
倒壊する危険性が生じます。このような事故を未然に防ぐには、表面クラックの早期発見と補修が非常に重要になります。しかし
ながら、マンションなどのコンクリート壁面では、壁紙装飾やライニング塗装などの被覆が施されていることが多く、目視検査でクラック
を発見することは困難です。
NTT研究所では、この問題を解決するために、ミリ波イメージング技術である「クラックスキャン」の研究開発を推進してきました。
ミリ波とは、波長がミリメートル台(周波数で30G~300GHz)の電磁波です。このミリ波は、壁紙やライニング塗装を透過し、細かい
クラックに当たると散乱します。一般的な電磁波によるイメージング装置の空間分解能は波長程度ですが、本技術では、クラックで
生じるミリ波の散乱を近接でとらえることによって、土木建築界の要求水準を満たすサブミリメートル幅のクラック検知精度を実現
しました。この装置で壁面を走査すると、被覆下に隠されたコンクリート表面のクラックが二次元画像としてモニター上に映し出され
ます。
このクラックスキャンは、現在、コンクリート構造物の非破壊検査技術として、NTT設備の補修維持管理業務への展開を目指してい
ます。また、コンクリート構造物以外のセキュリティ検査や食品異物混入検査などにも応用展開できる技術として、さらなる研究開発を
進めています。